迷子の妄想、ループループ!
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午前三時のお茶会 (本山ノ井)
1000hitお礼フリー小説第三弾です
(配付元は「グラスプ!」だとさえ明記していただけたらどこへでもお持ちいただいて結構です(同人サイト・ブログに限り))

※貴族パロ(というか18世紀パロ)です^^


title;ちりあくた


♪you're sixteen,going on seventeen...

本山はふいに顔を上げてその歌声を聞いていた。胸元から懐中時計を取り出すと、時刻はもう3時前を指していた。



午 前 三 時 の お 茶 会



その軽快な歌声が聞こえるまで、本山は夜遅くまでの執政官としての雑務を終えた後も眠れずに正装のままで他国の法律書をランプの下で読んでいた。なかなか眠れない日々がここ数日続いている。

「(何だ…?)」

立ち上がって開け放した窓辺まで歩いていく。不審者かと思うも、滑らかな歌声に口を噤んでカーテンを開ける。

♪baby, it's time to think...

聞こえる歌声の発信源を求め紫の闇を見渡す。薄暗い輪郭が陽気に敷地を歩いていた。本山は思索を巡らせ口を開くが、掛ける言葉も見当たらずそのまま歌声を聴いていた。

♪Better beware,be canny and careful...

ふいに、凭れていた窓枠がギシッと軋む。数少ない光のある窓を目で追う人影が、くるりとこちらを向いた。

「だぁれ?」

あどけないソプラノが響く。人影がこちらの窓辺にゆっくり歩いて来るのが見えた。本山は小さく口を開く。

「そちらこそ」

名を名乗ったらどうです?言葉が最後まで紡がれる前に、ランプに照らされた輪郭がぽうっと明るくなる。糸目で幼く、どこか上品な顔立ちが露になり本山は見惚れる。

「ふふ、俺のこと?」

窓辺の桟に男はぎしっと腕を乗せる。口元を弛めてにこにことこちらを見上げるその姿に、本山はつられて口端をあげる。

「何者ですか?」
「侵入者、かな」

法律や規則がちらりと頭を掠めながら、本山は夢を見ているかのような陶酔に耽っていることに気付く。甘美ともいえる誘惑だった。

「お名前を、」
「ケースケ。山ノ井圭輔だよ」
「俺は本山裕史です」

暫く二人は戯言を交わした。山ノ井が時折舌を覗かせる赤い唇や、奥の知れない笑顔にとてつもなく惹かれているのに本山は気付く。

「二人で、お茶会でもしますか?」
「ふふ、いいね」

「入ってください」

男は一瞬驚いた顔をし、にっと笑った。本山はそっと長い手を男に伸べる。男が指をたらんと乗せると、本山はぐいっと背中に手を回し男を抱えて窓に引き上げた。ランプがカランカランと小さく揺れる。

「っと、」
「大丈夫ですか?」

抱き抱えた山ノ井をそっと本山は下ろした。0cmの距離に、互いの心音が跳ね上がった。動揺を隠して本山は紅茶を淹れにかかる。山ノ井はこくんと喉を鳴らした。

「何がいいですか?」
「…レディグレイ」

手慣れた手付きで本山は紅茶を淹れた。山ノ井はとくんと鳴る心音を聞き、頬に赤い熱を感じた。ざわざわする胸を押さえ冷たい手をぴとりと頬に当てて、椅子に腰掛けていた。

「どうしてここに?」
「ずっと灯りの消えない窓があるからさ、」

気になって来ちゃった。幼く開く口と赤い目元に本山はじわじわと上がる体温を感じる。このただならぬ感情の名前をきっと自分は知っていた。

ことりと本山は二人分のティーカップをソーサーに乗せて、椅子に座る山ノ井に声を掛ける。

「テラスに出ましょう」

開け放たれたベランダの窓から、風がカーテンをはためかせ本山の髪を揺らす。再び伸べられた手に山ノ井は指を重ねる。漆黒の夜空は存外にしっとりと二人を包んだ。

「…わ」
「星、綺麗でしょう?」

二人の見上げる先には黒闇に浮かぶ星々があった。ひんやりとした夜空の気温に山ノ井はキスをする。温度と緊張の吐息が溶け合った。

♪i am sixteen going on seventeen...

山ノ井のすべらかな歌声は夜風に乗り大気を揺らす。本山は目を閉じて暫し時を忘れて聞き惚れていた。山ノ井がちらりと目線を送り、二人の視線が溶け合う。本山はようやくすぅと夜風を吸い込む。


♪you're sixteen going on seventeen...

二人の歌声は夜想曲となって午前三時の星空に響く。星々が彼らを巡る中、逢瀬を邪魔する者など居ない。溶け合う甘い視線だけが互いを包んでいた。

彼らを包む夜空は、明けなかったに違いない。





( end ! )

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ヒット企画完結です
読んでいただいてありがとうございました!\(^o^)/
文(おおふり) comments(0)
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