迷子の妄想、ループループ!
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世界と宇宙の綻びの真ん中で (タケ山+本・島)
 ※戦争パロです
  血とかぬるいけどあるので注意
  シリーズ的に続きます
 題 9円ラフォーレより


突き抜ける青空の下、舞うのは汗と血と砂埃だけだった。


  世 界 と 宇 宙  の 
綻 び の 真 ん 中   で



「っくそ…!」

カキン、と錆び付いたサーベルを打ちならし島崎は焦りを感じていた。サーベルに反射する光は場違いに青い。

「…っ」

敵の一振りを避けた、瞬間サーベルが手からするりと落ちる。敵のサーベルが島崎の肩を突き抜ける。

パァン!

敵の心臓を射抜いた血が、島崎の頬を濡らす。背後の装甲にめり込んだ弾丸を見て島崎は息を吐いた。

「山ちゃん、」

喧騒が止むと砂塵が収まってくる。山ノ井はその向こう側から姿を現わした。どこかくえない笑顔は戦場という非日常においても変わらない。

「慎吾、簡単に死んでんじゃねーよ」
「…助かった」

ドイツ製のライフルを肩に担いだ山ノ井は、にっと微笑む。私物であるそれを島崎は一瞥して嘆息する。

「戻ろう、召集は?」
「10分後に点呼」
「今日の行動知ってる?」
「…今夜第三兵隊のキャンプに追いつく」
「そっか」

島崎は微笑んだ。山ノ井は暫く地面から顔を上げなかったが、やがて二人で歩き出した。砂塵は傷に染みる、と島崎は感じた。



夜の砂漠は著しく気温が下がる。焚き火で暖をとる島崎の頬や肩には薄い包帯が巻かれていた。物資は少なくなってきているらしい。

「ふぃ〜、寒い…」
「山ちゃん寒がりだもんな」

ゴォオと焚き火は胡座をかく彼らの顔を正面から照らす。吐く息は白かった。今日も砂塵は多い。

「そういえば凖太とは?どうしたの?」
「…足折ってきた。」
「は?凖太の?」
「うん。」

島崎は地面から顔を上げない。表情の読み取れない顔だった。

「俺が戦場にいることも知ってるかわかんない」
「慎吾病んでるー」

だってさ、と島崎は続ける。

「例えば俺があいつのために死んだらあいつは一生背負わなきゃいけないじゃん。それと頭おかしい男に足折られるのとどっちがましよ」
「あー、分かるかも」

闇に揺蕩う二人の長い影の背後で、砂を踏む音がした。

「君たち、なに物騒な会話してんの」
「…っす」

二人が振り向いた先には本山と青木がいた。第三兵隊の連絡が終わった証拠だった。

「わ!」
「おー、久しぶり」

山ノ井も島崎も頬を弛ませる。こうして4人で会うのは、戦争が始まって以来半年ぶりだった。

「タケー!」
「会いたかったです」

すぐさま抱きつきあう恋人たちに二人は苦笑して、思い出を語らった。

「もう3年かー」
「早いっすね」
「大学違う奴ら会わねーもんな」
「和己とかな」

消灯の時間が迫り、同胞たちはぽつぽつと火を消してテントに戻っていった。話は尽きなかった。

「なー、みんな死ぬなよ」
「……。」

山ノ井の一言に、会話が止んだ。敢えて全く触れられなかった戦争の話題に、少なくとも皆動揺していた。

「…山ちゃんもな」

暫時経って、本山はぽつりと洩らす。それから、誰も何もいわなかった。いえなかった。

隊の一人が島崎を呼ぶのが遠くに聞こえた。もう、星も天高い場所にあった。言葉もなく、本山は火を消した。

山ノ井は無表情で俯いた。青木は泣いていた。



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